
研究目的
本研究はC57BL/6JJclマウスに対し高脂肪食(HFD32)を長期給与し、肥満および臓器障害の発現について系統的に評価することを目的とした。
材料と方法
供試動物• 系統:C57BL/6JJcl(SPF)
• 週齢・性別:4週齢、雌雄各10匹(1群あたり雌雄各5匹)
飼料
• 通常食群:CE-2(高圧蒸気滅菌)
• 高脂肪食群:High Fat Diet 32(HFD32、放射線滅菌)
飼育条件
• 室温:20~26℃、湿度:45~70%
• 明暗サイクル:12時間点灯 / 12時間消灯
• 単独飼育(Mケージ使用)
• 飼料・給水:滅菌水を自由飲水、飼料自由摂取
試験スケジュール
• 投与期間:4週齢〜24週齢 • 毎週:摂餌量および摂水量測定
• 1回/2週:体重測定 • 1回/4週:簡易血糖値測定(グルテストミントⅡ)
解剖・サンプリング
24週齢時にイソフルラン麻酔下で解剖を行い、主要臓器および血液を採取。 血液は生化学検査装置(自動分析装置 3500)を用い、以下の項目を測定:
• 血糖値、総コレステロール(T-Cho)、トリグリセリド(TG)
• 肝酵素(ALT, AST)
• 腎機能指標(BUN, Cre)
加えて、インスリンおよびグルカゴンをELISAキットにより定量。
膀胱穿刺で採取した尿については尿タンパクおよび尿中クレアチニンを測定。
統計解析はStudent’s t-testを用い、有意水準はP<0.05およびP<0.01に設定した。
結果概要
体重
2週間毎に測定した。図のポイントと縦線は平均値±標準偏差を表す。統計計算は各週齢の試験群間で実施した(*p<0.05, ** p<0.01)。

摂餌量・摂取カロリー
1週間毎に摂卸量の測定を行い、1日1匹当たりの摂取カロリーを割り出した。図のポイントと縦線は平均値±標準偏差を表す。統計計算は各週齢の試験群間で実施した(' p<0.05, ** p<0.01)。

摂水量
1週間每に摂水量の測定を行い、1日1匹当たりの摂水量を割り出した。図のボイントと縦線は平均値±標準偏差を表す。統計計算は各週齢の試験群間で実施した(*p<0.05, ** p<0.01).

血糖値測定

臓器重量(絶対重量)
24週齢時に解剖を実施した(各群の供試数はS)。イソフルラン麻酔下で開腹し、後大静顔から説血後に各臓器を摘出し、重量を測定した。図の線棒と縦線は平均値±標準偏差を表している。
統計計算は試験群間で実施した(*p<0.05, ** p<0.01).

臓器重量(相対重量)
24週齢時に解剖を実施した(各郡の供試数はS)。イソフルラン麻酔下で開腹し、後大静脈から脱血後に各臓器を摘出し、重量を測定した。図の縦棒と縦線は平均値±標準偏差を表している。各臓器の重量を各個体の体重で除算し、相対重量を算出した。統計計算は試験群間で実施した(*p<0.05, ** p<0.01)·

血液生化学値
24週齢時に解剖を実施した(各料の供試数はS)。イソフルラン麻酔下で開腹し、後大静脈から採血を行った。統計計算は試験群間で実施した(*p<0.05,"*p<0.01).



まとめ
C57BL/6Jマウスは明らかにDIO感受性が高く、HFD32を給餌することにより、肥満・耐糖能異常・インスリン抵抗性が惹起されることが示唆され、特に若齢 (6週齢)からHFD32を与えることにより、約8週齢以降24週齢まで明確な肥満・代謝異常が観察される。
なお、肝臓および脂質パラメータに有意な高値が認められることから、脂肪肝等の肝障害が示唆される
お問い合わせ
お気軽に下記からお問い合わせください。営業担当よりご連絡させていただきます。