
目的
開発案件試験の一環として、Jcl:SDラットに高脂肪食を給餌することにより、肥満および肝・腎機能について、通常食の給餌群との比較により検証した。
材料
動物:Jcl:SD (SPF) 4週齢 雌雄各10匹を試験に供した。供試数は1群当たり雌雄各5匹である。
給餌飼料:
- CE-2(高圧蒸気滅菌)
- Quick Fat(以下、QF)放射線滅菌
飼育環境:
- 温度 20~26℃、湿度45~70%
- 照明 点灯12h、消灯12h
- 使用ケージ ブラケットによる単独飼育
- 飼料 自由摂取
- 給水 滅菌水を自由飲水
試験方法
4週齢のJcl:SD (以下SD)ラットに体重の差が出ないように2群(CE-2群、QF群)に振り分け、4週齢から24週齢までの間、飼料の給与を実施した。給与期間に毎週摂餌量ならびに摂水量の測定を行った、また2週間毎に体重測定を、4週間毎に簡易血糖値測定器(グルテストミントⅡ;株式会社三和化学研究所)を用いて血糖値測定を行った。
24週齢時にイソフルラン麻酔下で解剖に供し、臓器の採取ならびに採血を行った。得られた血液サンプルを生化学検査装置(自動分析装置 3500 ; 日立ハイテク)を用いて生化学値(血糖値、総コレステロール、トリグリセリド、ALT, AST, BUN, Cre)の測定を行った。
また、インスリン、グルカゴンはELISAキットを用いて測定を行った。
また、解剖時に膀胱穿刺を行い尿を採取し、尿タンパク、尿中クレアチニンを測定した。有意差検定はStudent‘s t-testで実施し、有意水準は、P<0.05およびP<0.01とした。
SDラット 平均体重推移(CE-2群とQF群比較)
SDラット 平均摂餌量・摂取Kcal (CE-2群とQF群比較)
SDラット 平均摂水量推移(CE-2群とQF群比較)
SDラット 平均血糖値推移(CE-2群とQF群比較)
SDラット 臓器重量(CE-2群とQF群)比較【肝臓・腎臓】
SDラット 臓器重量(CE-2群とQF群)比較【心臓・白色脂肪】
SDラット 筋肉重量(CE-2群とQF群)比較
血液生化学値 (1) SDラット CE-2群とQF比較
血液生化学値 (2) SDラット CE-2群とQF比較
血液生化学値 (3) SDラット CE-2群とQF群比較
まとめ
SDラットはQF給餌をすることにより、雄の体重はCE-2給餌群に比して10週齢から高値の傾向を示し、24週齢における平均値は約800gに達した。これは、ラットにおけるDIOモデルの基準を超えるものであり (同週齢の標準食に対して、15~25%以上の増加)、雄はDIO感受性が高いと考えられた。一方、雌の体重はCE-2給餌群に比して12から24週齢まで有意に高値を示したが、その増加程度は低く400g前後に止まった。また、25週齢において、雄の肝臓 (AST) および脂質パラメータ (総コレステロール) に有意な高値、(中性脂肪) に高値な傾向が認められることから、脂肪肝等の病理組織学的検索を進める予定である。
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