Diet Research Data (試験データ集):雄 Wistar Hannoverラットに対するQuick Fat 長期給与の影響
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1.目的
ラットを用いて高脂肪飼料の長期給与試験(50週間)を実施し、基礎的なデータを収集すると共に、高脂肪飼料の長期給与によって発症が予想される肥満・糖尿病病変(高血糖や合併症など)に関するデータの収集を目的としました。
2.材料および方法
(1)試験の実施場所
日本配合飼料(株)(現フィード・ワン(株))中央研究所のラット・マウス飼育室(コンベンショナル)としました。
(2)給与飼料
- CE-2: 粗脂肪含量 5.9%、Fat kcal% 15.2%、可溶性無窒素物含量 49.0%、NFE kcal% 56.1%
- Quick Fat(以下 QF): 粗脂肪含量 14.6%、Fat kcal% 32.4%、可溶性無窒素物含量 44.0%、NFE kcal% 43.4%
(3)動物
BrlHan:WIST@Jcl(GALAS) ラット(Wistar Hannover ラット)の雄を対象動物としました。
(4)飼育方法
- 温度と湿度:温度= 21~ 25℃、湿度= 40~ 60%
- 照明:12時間の明暗サイクル(点灯時間 9:00~ 21:00)
- ケージ:ラットポリプロピレンケージ(345× 403× 177mm)に 2匹ずつ飼育
- 飼料:自由摂取
- 飲水:水道水を自由摂取
(5)試験方法
試験動物を 4週齢で導入し、1週間の順化後(CE-2給与)、体重および血糖値を指標に各群間に 差が生じないように振り分けました。5週齢時から試験飼料の給与を開始し、各群14匹のうち6匹は 25週間(30週齢時まで)、8匹は 50週間(55週齢時まで)給与を実施しました。解剖は、一晩絶食後(15時間)セボフルラン麻酔下で実施し、各臓器重量の測定および血液分析に供しました。また血糖値の測定は、グルテスト PROR(三和化学研究所)を使用しました。尚、有意差検定は Student's T-testで実施しました。
3.結果
以下に記載しております。
1.体重
体重変化
1週間毎に測定しました。図のポイントと縦線は平均値±標準誤差を表しています。統計処理は各週齢の試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。
2.摂餌量
摂餌量の推移
摂餌量は、各週齢における1日1匹あたりの平均値を示しています。図のポイントと縦線は平均値±標準誤差を表しています。統計処理は各週齢の試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています(p< 0.05)。
3.随時血糖値
随時血糖値の推移
採採血は 5週間毎に尾静脈から採取し、採取時間は点灯 4時間後の午後 1時としました。全血を簡易血糖測定器(グルテスト/ PROR /(株)三和化学研究所)にて測定しました。図の縦棒と縦線は平均値±標準誤差を表しています。統計処理は各週齢の試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。
4.空腹時血糖値
空腹時血糖値の推移
5、15、25、40、55週齢(試験飼料給与 3日後、10、20、35、50週間後)時に実施しました。15時間(18:00~9:00)絶食後、尾静脈より採血し、全血を簡易血糖測定器(グルテストPROR /(株)三和化学研究所)にて測定しました。図の縦棒と縦線は平均値±標準誤差を表しています。統計処理は各週齢の試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。
5.経口糖負荷試験
各週齢における経口糖負荷試験結果
5、15、25、40、55週齢(試験飼料給与 3日後、10、20、35、50週間後)時に実施しました。15時間(18:00~9:00)絶食後、グルコース溶液(2g / kg体重)を胃ゾンデで経口投与し、投与前(0分)、投与後 30、60、120分に尾静脈より採血し、全血を簡易血糖測定器(グルテストPROR /(株)三和化学研究所)にて測定しました。図のポイントと縦線は平均値±標準誤差を表しています。統計処理は各時間の試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。
各週齢における経口糖負荷試験時血漿中インスリン濃度
経口糖負荷試験時の血糖値測定の際に、合わせて採血を実施し、それらの血液を遠心分離して得た血漿を、 インスリンの測定に供しました。尚、インスリンの測定には ELISA Inslin kit((株)森永生科学研究所)を使用しました。図は平均値±標準誤差で示しています。統計処理は各時間の試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。
6.解剖時主要臓器重量
各週齢における主要臓器重量
30週齢時と55週齢時に解剖を実施しました。15時間絶食後にセボフルラン麻酔下で開腹し、各臓器を摘出し、重量を測定しました。図の縦棒と縦線は平均値±標準誤差を表しています。統計処理は試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。
各週齢における部位別脂肪組織重量
30週齢時と55週齢に解剖を実施しました。15時間絶食後セボフルラン麻酔下で開腹し、各脂肪重量を測定しました。図の縦棒と縦線は平均値±標準誤差を表しています。統計処理は試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。
7.解剖時血液分析
各週齢における血清中脂質関連物質の変化
30週齢時と 55週齢時に解剖を実施し、その際に血液を採取しました。15時間絶食後にセボフルラン麻酔下で開腹し、後大静脈から血液を採取し、血清中の総コレステロール(T-Cho)・HDL-コレステロール(HDL-Cho)・トリグリセライド(TG)・遊離脂肪酸(NEFA)濃度の測定を行いました。図の縦棒と縦線は平均値±標準誤差を表しています。統計処理は試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています ( p< 0.05)。
8.解剖時アディポネクチン・レプチン濃度
各週齢における血漿中レプチン濃度
図は平均値±標準誤差を示しています。図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。解剖時に後大静脈より採血を実施し、それらの血液を遠心分離して血漿を得た後、レプチン測定に供しました。尚、レプチン測定には Leptin/Rat ELISA kit((株)森永生科学研究所)を使用しました。
各週齢における血清中アディポネクチン(Ad)濃度
図は平均値±標準誤差を示しています。解剖時に後大静脈より採血し、それらの血液を遠心分離して血清とし、アディポネクチン測定に供しました。尚、アディポネクチン測定にはマウス/ラットアディポネクチンELISAキット(大塚製薬(株))を使用しました。
9.肝臓および脂肪組織観察
55週齢時組織写真(肝臓、脂肪組織 ;HE染色 ,× 300)
左上図:CE-2群肝臓、右上図:QF群肝臓、左下図:CE-2群脂肪組織、右下図:QF群脂肪組織肝臓について ;QF群では、CE-2群に比べ肝組織中の脂肪変性が強く観察されました。脂肪組織について ;CE-2群では比較的形の整った脂肪細胞が観察されましたが、QF群では細胞の形状が不 均一なものが多く、大小の細胞が混在していました。
肝臓、脂肪組織の評価
スコアリングは“所見の多さ”および“所見の強さ”により、0:no evidenc、0.5:rare slight、1:slight = 1、1.5:slight~ moderate、2.0:moderate、2.5:moderate~ severe、3.0:severeで数値化しました。
組織評価結果
注 ; 脂肪変性とは、肝細胞の変性・崩壊を伴い脂肪化している所見を指します。一方脂肪滴変性とは、細胞質内に大小の脂肪滴が沈着している所見を指します。