
研究概要
本試験は、日本クレアが提供する高週齢C57BL/6J(B6J)およびC57BL/6N(B6N)マウスを対象に、肝臓および腎臓の病理組織学的変化を評価したものです。 老齢期マウスにおける臓器レベルの構造変化を明らかにし、加齢性疾患研究の基礎資料として提供することを目的としています。平均寿命の延伸に伴い、肝疾患や腎疾患を含む加齢関連臓器障害の研究ニーズは高まっています。しかし、高週齢マウスにおける組織学的な基礎情報は不足しており、本試験では、血液生化学検査や尿検査の結果をもとに高値を示した個体を選抜し、肝臓・腎臓の詳細な病理解析を行いました。


材料および方法
動物• C57BL/6JJcl(B6J):62週齢開始、雄30匹
• C57BL/6NJcl(B6N):64週齢開始、雄30匹
飼育条件
• 飼料:CE-2(高圧蒸気滅菌)自由摂取
• 温度:20〜26℃、湿度:45〜70%
• 照明:12h明/12h暗
• 単独飼育(Mケージ)
• 滅菌水自由飲水
試験デザイン
• 定期体重測定:1回/2週
• 78週齢時に解剖し、臓器採取・重量測定
• 本試験では肝臓・腎臓をホルマリン固定後、病理組織学的評価
個体選抜基準
• 肝臓評価:ALT・ASTが高値の個体(二例)、および対照個体(二例)
• 腎臓評価:尿蛋白が高値の個体(二例)、および対照個体(二例)
評価方法
• 病理変化のスコア化(+++:重度, ++:中等度, +:軽度, ±:ごく軽度, -:正常)
• 観察項目:肝臓(空胞化、肥大、巣状壊死)、腎臓(癒着、腫大 ほか)
材料および方法
肝臓の病理組織学的所見

B6N系統


• ALT/AST高値の2例に巣状壊死(中~重度)
• 脂肪肝、肝細胞肥大など加齢性変化の可能性がある所見も確認
B6J系統


• 巣状壊死はB6N同様に認められたが、血液パラメータとの明確な関連はなし
まとめ
【肝臓】• 肝機能パラメータの上昇が認められたC57BL/6Nマウスの2例で巣状壊死が認められた。
• 巣状壊死はC57BL/6Jマウスも含め、それ以外の個体でも中程度から重度の所見が確認されたが、肝機能パラメータとの関連性はみられなかった。
⇒ また、脂肪肝や肝細胞肥大は加齢性変化の可能性がある。
【腎臓】
• 糸球体への影響が認められたが、尿蛋白との関連性はなかった。
(C57BL/6NマウスよりもC57BL/6Jマウスで糸球体障害の程度が強かった)
⇒ また、糸球体の所見は加齢性変化の可能性がある。
• いずれの系統でも尿細管障害は認められなかった。
関連リンク
• [試験:各種検査データ]• [高週齢マウス販売・エイジングサービスページ]
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