
コレステロール添加飼料負荷、肥満2型糖尿病モデルSDT fattyラットは24週齢以降にヒト類似のNASH病態の特徴を示します。
従来のNASHモデルとして扱われている実験動物はヒト病態の一部のみを反映しており、更にヒトに類似した病態を示すモデル動物の開発が望まれています。
コレステロール添加飼料を負荷した肥満2型糖尿病モデルSDT fattyラットは、24週齢以降にNASH病態の特徴を示します。以下にSDT fattyラットを用いた、コレステロール添加飼料負荷によるNASH病態発症促進の試験結果をご紹介致します。
*NASH(non-alcoholic steatohepatitis):非アルコール性脂肪性肝炎
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方法
- SDT fatty/Jcl ♀、Jcl:SD
- 4週齢より24週齢までの20週間 標準(NC)および2%コレステロール添加飼料(Cho)を給餌
- 体重および血漿生化学値:8週齢、12週齢、16週齢、20週齢、24週齢
- 血漿中コリン濃度:SDT fatty(10週齢、16週齢、24週齢)、SD(24週齢)
- 肝臓病理組織:SDT fatty-Cho(16週齢、20週齢、24週齢) 他(24週齢)
関連論文:
Physiol. Res. 67: 601-612, 2018
結果
▶ 各群の体重および生物学的パラメータ
結果1:
- SDT fatty-NC群と比較し、血糖値が増加傾向を示した。
- ヒトNASH患者と同様に24週齢で著しい血漿コリン濃度の上昇を示した。
▶ 各群24週齢における肝臓重量および肝臓脂質含量
肝臓分析(24週齢):
結果2:
- 他群と比較し、SDT fatty-Cho群は肝臓中のFFA、TG、DAG、TCおよびFCの増加を示した。
▶ 各群24週齢における肝臓の病理組織像
HE染色(A~D)↓ シリウスレッド染色(E~H)↓
各群の肝臓における病理組織学的所見
結果3:
- 病理組織学的検査において、24週齢時点で明らかな脂肪変性・肝線維化を示した。
▶ 各群24週齢における中性脂肪の合成及び分泌
肝臓中の遺伝子発現:
結果4:
- 肝臓でMCP‐1およびTNF-αのmRNAの高発現を示し、肝細胞の障害および炎症の促進が示唆された。
- Collagen Type 1およびTGF-βを含む線維化に関連する肝臓mRNA発現の増加が観察された。
考察
SDT fattyラットは、コレステロール添加飼料負荷により体重、生化学的パラメータ、肝臓重量と脂質含量、病理解析、中性脂肪合成および分泌等のデータからNASH病態促進の結果が得られた。コレステロール添加飼料を負荷したSDT fattyラットは、極めて有用なNASHモデルになる可能性が示された。