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糖尿病性神経障害の薬剤評価研究に有効:
2型糖尿動物モデルSDT fattyラット

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糖尿病性神経障害の薬剤評価研究に有効:<br />2型糖尿動物モデルSDT fattyラット

糖尿病による末梢神経障害を呈し、更に既存薬(SGLT阻害剤)の投与試験において改善効果が観察可能。日本クレアの2型糖尿病モデル、SDT fattyラットのご紹介


日本クレアの2型糖尿病モデルSDT fattyラットは腎臓、眼、末梢神経の細小血管合併症を早期に生じさせる事から有用な動物モデルと示唆されています。ただ病理を含む末梢神経症モデルとしての検討は十分にされていませんでした。今回はSDT fattyラットにおける糖尿病末梢神経障害モデルの確立に向けた、末梢神経の機能及び病態生理学的特徴についての試験結果を紹介します。

結果、雄性SDT fattyラットでは高血糖に伴って末梢神経機能の低下と神経線維の病理学的異常が認められた上、SGLT阻害剤フロリジンはそれらの変化を改善しました。SDT fattyラットは糖尿病末梢神経障害の評価モデルとして有用であると考えられます。糖尿病神経障害のin vivo試験を実施の際は、ぜひ本モデルラットの活用をご検討下さい。


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方法

5週齢雄性SDT fattyラット及び正常SDラットを用い、SDT fattyラットには16週齢までフロリジン(PZN)100-150mg/kg/dayを皮下投与しました。経時的に血液生化学パラメータの変化を検討し、15週齢では坐骨神経伝導速度の測定と自律神経機能評価、16週齢の解剖時には表皮内神経線維密度(IENFD)の測定と腓腹神経の電子顕微鏡学的観察を実施しました。

SDT fatty ラット 糖尿病性神経障害モデルの試験デザイン

 

12週間の治療中と治療後に測定されたパラメーター

 

生化学的パラメータ 

生化学的パラメータ

SDT fattyラットの血糖値は同週齢のSDラットよりも有意な高値を示しました。PZN処置はSDT fattyラットの血糖値を低下させました(A)。SDT fattyラットの血漿インスリン値は5週齢をピークに減少しましたが、PZN治療によって低下が抑制されました(B)。SDT fattyラットの体重は実験期間を通じてSDラットの体重より有意に高値を示しました。

PZNを投与したSDT fattyラットの体重は媒体を投与したSDT fattyラットよりも増加していました。値は平均±標準偏差。*p<0.05、**p<0.01 vs. SD ラット、#p<0.05、##p<0.01 vs. SDT fattyラット (媒体群)(二元配置分散分析及びStudent’sのt検定またはAspin-Welch t検定)

 

神経伝導速度 

神経伝導速度

SDT fattyラットでは坐骨神経のSNCV(知覚神経線維神経伝導速度)がSDラットに比べて有意に低下しており、この低下はPZN処置によって改善されました。値は平均±標準偏差。**p<0.01 vs. SD ラット、##p<0.01 vs. SDT fattyラット (媒体群) (一元配置分散分析及びStudent’sのt検定またはAspin-Welch t検定)

 

神経線維密度

神経線維密度

後肢足蹠皮膚を抗PGP9.5抗体で免疫染色しました。SDT fatty ラットの後肢足蹠皮膚神経線維密度(IENFD)はSDラットに比べて低下する傾向を示しました。PZN治療はIENFDの減少を抑制する傾向を示しました。値は平均±標準偏差。

 

自律神経機能 

自立神経機能

SDT fattyラットのR-R間隔変動係数(CVR-R)はSDラットに比べて低下傾向を示しました。 この変化はPZN治療により改善する傾向が見られました(A)。SDT fattyラットの瞳孔径は、SDラットと比較して、散瞳薬の点眼前及び点眼後の両方で有意な低値を示しました。PZN投与により、散瞳薬点眼による瞳孔径の低下が改善されました (B)。値は平均±標準偏差。 *p<0.05、**p<0.01 vs. SDラット、#p<0.05 vs. SDT fattyラット (媒体群) (一元配置分散分析及びStudent’sのt検定またはAspin-Welch t検定)

 

腓腹神経の電子顕微鏡像 

腓腹神経の電子顕微鏡像(A)

腓腹神経の電子顕微鏡像(B)

SDT fattyラットの腓腹神経の電子顕微鏡的観察では小径有髄線維のミトコンドリア異常(膨化や変性)、および無髄線維の空胞化とミトコンドリアの膨化が見られました。これらの形態学的変異はPZN治療によって改善されました。

 

結論

雄性SDT fatty ラットは、16週齢までにSNCVやIENFDの低下、および腓腹神経の小径有髄線維および無髄線維の形態学的異常を示しました。また、自律神経機能の障害も示唆されました。これらの異常は血糖値をコントロールすることで抑制されたため、持続的な高血糖によって引き起こされたものと考えられます。

雌性SDT fattyラットにおいても血糖コントロールで改善するSNCVおよびIENFDの低下が報告されています(Katsuda et al. Exp Anim, 2015)。SDT fattyラットは重度の高血糖に加えて脂質異常症 (Matsui et al., Exp Anim, 2008) や軽度の高血圧 (Ishii et al., Exp Anim, 2010) も示すことから、これら複数の因子が2型糖尿病やその細小血管合併症にも寄与している可能性があります。したがって、SDT fattyラットは2型糖尿病における末梢神経障害に関する研究に役立つと考えられます。


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関連論文

  1. Katsuda Y, Sasase T, Tadaki H, Mera Y, Motohashi Y, Kemmochi Y, Toyoda K, Kakimoto K, Kume S, Ohta T. Contribution of hyperglycemia on diabetic complications in obese type 2 diabetic SDT fatty rats: effects of SGLT inhibitor phlorizin. Experimental Animals. 2015; 64: 161-169.

  2. Maekawa T, Tadaki H, Sasase T, Motohashi Y, Miyajima K, Ohta T, Kume S. Pathophysiological profiles of SDT fatty rats, a potential new diabetic peripheral neuropathy model. Journal of Pharmacological and Toxicological Methods. 2017; 88: 160-166.

  3. Sasase T, Maekawa T, Tadaki H, Motohashi Y, Miyajima K, Ohta T, Kume S. Diabetic peripheral neuropathy in SDT fatty rat, a new animal model of obese type2 diabetes. 27th Annual Meeting of the Diabetic Neuropathy Study Group of the European Association for the Study of Diabetes (EASD) (Neurodiab 2017). Sep 9-11, 2017; Hotel Vila Galé Coimbra, Coimbra, Portugal.

 

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