Diet Research Data (試験データ集):雄 Wistar Hannoverラット に対する High Fat Diet 32 長期給与の影響
Related CLEA Japan product: High Fat Diet 32
For the animal, please click here↓
: https://www.clea-japan.com/en/products/general_diet/item_d0080
: https://www.clea-japan.com/products/general_diet/item_d0080
Inquiry(お問い合わせ):
If you have any question, please feel free to contact us from here.
1.目的
ラットを用いて高脂肪飼料の長期給与試験(50週間)を実施し、基礎的なデータを収集すると共に、高脂肪飼料の長期給与によって発症が予想される肥満・糖尿病病変(高血糖や合併症など)に関するデータの収集を目的としました。
2.材料および方法
(1)試験の実施場所
日本配合飼料(株)(現フィード・ワン(株))中央研究所のラット・マウス飼育室(コンベンショナル)としました。
(2)給与飼料
- Low Fat Diet(以下 LFD):粗脂肪含量 4.5%、Fat kcal% 10.8%、可溶性無窒素物含量 64.3%、NFE kcal% 68.8%
- High Fat Diet 32(以下 HFD32):粗脂肪含量 32.4%、Fat kcal% 57.4%、可溶性無窒素物含量 29.1%、NFE kcal% 22.9%
(3)動物
BrlHan:WIST@Jcl(GALAS) ラット(Wistar Hannoverラット)の雄を対象動物としました。
(4)飼育方法
- 温度と湿度:温度= 21~ 25℃、湿度= 40~ 60%
- 照明:12時間の明暗サイクル(点灯時間 9:00~ 21:00)
- ケージ:ラットポリプロピレンケージ(345× 403× 177mm)に 2匹ずつ飼育
- 飼料:自由摂取
- 飲水:水道水を自由摂取
(5)試験方法
試験動物を 4週齢で導入し、1週間の順化後(CE-2給与)、体重および血糖値を指標に各群間に差が生じないように振り分けました。5週齢時から試験飼料の給与を開始し、各群 14匹のうち 6匹は25週間(30週齢時まで)、8匹は50週間(55週齢時まで)給与を実施しました。解剖は、一晩絶食後(15時間)セボフルラン麻酔下で実施し、各臓器重量の測定および血液分析に供しました。また血糖値の測定は、グルテスト PROR(三和化学研究所)を使用しました。尚、有意差検定は Student's T-testで実施しました。
3.結果
以下に記載しております。
1.体重
体重変化
図は平均値±標準誤差で示しています。統計処理は各週齢の試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。
2.摂餌量
摂餌量の推移
図は平均値±標準誤差で示しています。統計処理は各週齢の試験群間で実施し、図中の*は、有意差があることを示しています( p< 0.05)。
3.随時血糖値
随時血糖値の推移
図は平均値±標準誤差で示しています。
随時血糖値は、5週間ごとに測定し、測定作業は毎回13:00より実施しました。また採血部位は尾静脈、測定にはグルテスト PROR ((株)三和化学研究所)を使用しました。
4.空腹時血糖値
空腹時血糖値の推移
図は平均値±標準誤差で示しています。統計処理は各週齢の試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。
5.経口糖負荷試験
各週齢における経口糖負荷試験結果
上左図 ;10週齢、上右図 ;15週齢、中左図 ;25週齢、中右図 ;40週齢、下左図 ;55週齢
図は平均値±標準誤差で示しています。統計処理は同一時間の試験群間で実施し、図中の*は有意差があることを示しています( p< 0.05)。15時間絶食後、グルコースを経口投与(2g/kg体重)し、投与後 30、60、120分後の血糖値を測定しました。
各週齢における経口糖負荷試験時血漿中インスリン濃度
上左図 ;15週齢、上右図 ;25週齢、下左図 ;40週齢、下右図 ;55週齢
図は平均値±標準誤差で示しています。統計処理は各時間の試験群間で実施し、図中の*は、有意差があることを示しています( p< 0.05)。経口糖負荷試験時の血糖値測定の際に、合わせて採血を実施し、それらの血液を遠心分離して血漿を得、インスリン測定に供しました。尚、インスリン測定には ELISA Inslin kit((株)森永生科学研究所)を使用しました。
6.解剖時主要臓器重量
各週齢における主要臓器重量
図は平均値±標準誤差で示しています。図中の*は、有意差があることを示しています( p< 0.05)。解剖は、絶食(15時間)後に実施しました。
各週齢における部位別脂肪組織重量
図は平均値±標準誤差で示しています。図中の*は、有意差があることを示しています( p< 0.05)。解剖は、絶食(15時間)後に実施しました。
7.解剖時血液分析
各週齢における血清中脂質関連物質の変化
表の数値は平均値±標準誤差で示しています。図中の*は、有意差があることを示しています( p< 0.05)。
NEFA:遊離脂肪酸、TG:中性脂肪、Cho:コレステロール、T-Cho:総コレステロール
8.解剖時アディポネクチン・レプチン濃度
各週齢における血漿中レプチン濃度
図は平均値±標準誤差で示しています。図中の*は、有意差があることを示しています( p< 0.05)。解剖時に後大静脈より採血を実施し、それらの血液を遠心分離して血漿を得、レプチン測定に供しました。尚、レプチン測定には Leptin/Rat ELISA kit((株)森永生科学研究所)を使用しました。
各週齢における血清中アディポネクチン(Ad)濃度
図は平均値±標準誤差で示しています。解剖時に後大静脈より採血し、それらの血液を遠心分離して血清を得、アディポネクチン測定に供しました。尚、アディポネクチン測定にはマウス/ラットアディポネクチンELISA キット(大塚製薬(株))を使用しました。
9.肝臓および脂肪組織観察
55週齢時組織写真(肝臓、脂肪組織 ;HE染色 ,× 300)
左上図:LFD群肝臓、右上図:HFD32群肝臓、左下図:LFD群脂肪組織、右下図:HFD32群脂肪組織
肝臓について ;LFD群では、比較的大きい脂肪滴が肝組織に観察されたのに対し、HFD32群では小さい脂肪滴が細胞内に観察されました。脂肪組織について ;LFD群では比較的形の整った脂肪細胞が観察されましたが、HFD32群では細胞の形状が不均一なものが多く、大小の細胞が混在していました。
肝臓、脂肪組織の評価
スコアは“所見の多さ”および“所見の強さ”により、0:no evidenc、0.5:rare slight、1:slight = 1、1.5:slight~ moderate、2.0:moderate、2.5:moderate~ severe、3.0:severeで数値化しました。
組織評価結果
注 ;脂肪変性とは、肝細胞の変性・崩壊を伴い脂肪化している所見を指します。また脂肪滴変性とは、細胞質内に大小の脂肪滴が沈着している所見を指します。