Diet Research Data (試験データ集):雄F344ラットに対する異なる炭水化物/脂肪比を持つ飼料給与の影響
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1.目的
本研究では、異なる炭水化物/脂肪比を持つ飼料を給与した際の、ラットの肥満および耐糖能、肝臓中TG含量に及ぼす影響を検討することとしました。
2.材料および方法
(1)試験の実施場所
日本配合飼料(株(以下日配)中央研究所のラット飼育室(コンベンショナル)にて実施しました。
(2)給与飼料(特徴を表1~2に記載しました)
試験飼料の配合率および成分値は、表1および2の通りです。糖質は主に果糖、油脂源には主にサフラワー油を用い、炭水化物、粗脂肪含量の調整の為、コーンスターチ、ショ糖、精製粉末パーム油を使用しました。その他、各試験飼料配合率の特徴としては、下記の通りです。
- 炭水化物(C):脂肪(F)のエネルギー比(kcal/energy)を調整し、C/Fが異なる4群(C/F=2.5、 1.3、0.6、0.3)になるように設計しました。
- 糖については、果糖:ショ糖が1:3、脂肪についてはパーム油:サフラワー油が2:3になるよう調整しました。またC/F=2.5、1.3群については成型の為に、一部コーンスターチを炭水化物源として用いました。
- タンパクカロリー比については、AIN-93Gレベル(20%付近)を維持しました。
- その他原料については、カロリー比を考慮し調整しました。
(3)動物
5週齢の雄F344/Jclラットを用いました(n=10)。
(4)飼育方法
- 温度と湿度:温度=21~25℃、湿度=40~60%
- 照明:12時間の明暗サイクル(点灯時間 9:00~21:00)
- ケージ:滅菌チップを入れたポリカーボネート製ケージに2匹ずつ入れて飼育しました。
- 飼料:自由摂取としました。
- 飲水:水道水を自由摂取としました。
(5)試験方法
4週齢のF344/Jclラットを導入し、1週間の馴致後、体重を指標に群間に差が生じないようにそれぞれ4群に振り分けました。また、ケージあたりの匹数は1としました。5週齢から13週齢まで試験飼料の給与を実施し、8週齢および12週齢で経口糖負荷試験を実施しました。また、9週齢で各群4匹、13週齢で各群6匹について、一晩絶食後(約15時間)解剖に供しました。この際、得られた血液サンプルは、血清中脂質代謝関連物質(総コレステロール、HDL-コレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸)の測定に供しました。さらに、解剖時に採取した肝臓は、中性脂肪含量の測定と共に、ヘマトキシリン&エオジン染色を行い、組織学的観察に供しました。尚、有意差検定はTurkey-Kramer法で実施しました。
3.結果
以下に記載しております。
1.飼料成分
表1 試験飼料配合率
表2 試験飼料一般成分分析値
2.摂餌量
図1 摂餌量の推移
図のバーと縦線は平均値±標準誤差を表しています。統計処理は同一週齢の試験群間で実施し、図中の異符号間には有意差があることを示しています(p<0.05)。
表3 摂餌量の推移
3.飲水量
図2 飲水量の推移
図のバーと縦線は平均値±標準誤差を表しています。統計処理は同一週齢の試験群間で実施し、図中の異符号間には有意差があることを示しています(p<0.05)。
表4 飲水量の推移
4.体重
図3 体重
1週間毎に測定しました。図のバーと縦線は平均値±標準誤差を表しています。
表5 体重変化
5.経口糖負荷試験結果
図4 経口糖負荷試験結果
8週齢と12週齢で実施しました。試験は、15時間絶食後、グルコースを経口投与(2g/kg体重)し、投与後30、60、120分後の血糖値を測定しました。統計処理は同一投与後時間の試験群間で実施し、図中の異符号間には有意差があることを示しています(p<0.05)。
表6 各週齢のF344ラットにおける経口糖負荷試験結果
6.血中脂質代謝関連物質濃度
表7 血中脂質代謝関連物質濃度
7.相対臟器重量
表8 相対臓器重量
8.肝臓中中性脂肪含量と肝臓組織写真
図5 解剖時肝臟中中性脂肪含量
9週齢と13週齢の解剖時に採取した肝臓中の中性脂肪含量を測定しました。図のバーと縦線は平均値士標準誤差を表しています。図中の異符号間には有意差があることを示しています(p<0.05)。
表9 各系統のラットにおける肝臓中中性脂肪含量
図6 13週齡時肝臟組織写真(×200)
A:CF2.5群、B:CF1.3群、C:F0.6群、D:CF0.3群