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二次性サルコペニア:糖尿病モデルSDT fatty ラットのご紹介

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二次性サルコペニア:糖尿病モデルSDT fatty ラットのご紹介

肥満2型糖尿病モデルSDT fattyラットは、糖尿病および肥満を伴う病態を示します


糖脂質代謝の異常に関連したサルコペニアの指標となるような骨格筋の変化が捉えられたことから、SDT fattyラットは、糖尿病に関連したサルコペニアのメカニズムを解析するのに有用なモデルとして考えられます。ぜひご使用をご検討下さい。


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方法

SDT fatty ラットのサルコペニアモデル作製 試験デザイン

 

 動物 
  • SDT fatty ラット ♂ (n=6)
  • Sprague-Dawley (SD) ラット(正常対照) ♂ (n=5) 

 解剖 / 採材 
  • 8, 16, 24, 32, 40週齢で経時的に解剖

 対象
  • ヒラメ筋(赤筋/遅筋/I型筋優位)
  • 長趾伸筋(白筋/速筋/II型筋優位)

 検査
  • 筋重量(筋量の評価)
  • 病理組織学的解析
  • 筋線維面積計測(NADH-TR酵素化学染色)
  • 筋線維内脂肪検出(adipophilin免疫染色, 電子顕微鏡査) 
  • 生理学的解析(筋蛋白合成系:血中IGF-1測定)
  • 遺伝子解析(筋蛋白分解系:MuRF-1,Atrogin-1)
  • 筋力測定(機能的評価)

 統計
  • Student t-test or Aspin-Welch t-test

 

結果1:体重・血液生化学パラメータ

SDT fattyラットの体重は8週齢でSDラットと比して+23%を示したが、16週齢以降はSDTラットよりも低値で推移した。SDT fattyラットの血清グルコース、TGレベルは8週齢時に有意に高値を示し、血清インスリンレベルは8週齢で高値示した後、16週齢で急激に低下し以降低値で推移した。

結果:体重、血液生化学パラメータ

 

結果2:骨格筋重量 (筋量の評価)

SDT fattyラットはSDラットに比して、16週齢から骨格筋重量 (ヒラメ筋および長趾伸筋) の低値を示した。その傾向はヒラメ筋より長趾伸筋で顕著であった。16週齢のSDT fattyラットの骨格筋重量は、対SDラットで、ヒラメ筋で-39.4%/-29.7% (絶対重量/体重あたりの相対重量)、長趾伸筋で-57.5%/-50.6%であった。

8週齢から40週齢までの骨格筋重量の増加率を両ラットで比較すると、SDラットのヒラメ筋および長趾伸筋ではいずれも1.9倍と倍増しているのに対し、SDT fattyラットでは40週齢までほぼ横ばいであり、加齢による骨格筋の重量増加の程度が正常対照に比して極めて低いことが明らかとなった。

結果:骨格筋重量(筋量評価)

 

結果3:骨格筋の病理組織検査および筋線維横断面積の計測

8週齢時の両ラットの骨格筋には病理組織学的に大きな差は認められなかった。SDT fatty ラットの筋線維あたりの横断面積は16週齢から両筋肉とも正常対照より約30%も低下していた。24週齢から両筋肉で統計学的に有意な筋線維面積の低値が認められた。ヒラメ筋(主としてI 型線維から構成される)の8、16、24、32及び40週齢の平均筋線維横断面積は、対SDラットで、それぞれ-8.9%、-30.0%、-29.4%、-15.2% 及び-37.2%であった。

同様に、長趾伸筋(II 型筋優位)のIIb 型筋線維では、各週齢で-15.4%、-34.6%、-42.3%、-48.2% 及び-55.3%であり、一方で長趾伸筋のI 型筋ではSDラットと明らかな差は認められなかった。SDラットは8週齢から40週齢まで加齢性に筋線維の面積が増加したのに対し、SDT fatty ラットは加齢に伴う筋線維面積の増加の程度が小さく、その程度はII型筋線維がI型筋線維に比べて大きかった。

 

筋線維面積(ヒラメ筋・横断面)

結果:筋線維面積(ヒラメ筋・横断面)

 

筋線維面積(長趾伸筋、横断面)

結果:筋線維面積(長趾伸筋・横断面)

 

結果4:筋細胞内脂肪の蓄積及びミトコンドリアの形態異常

HE染色による病理組織標本の観察により、8週齢以降のSDT fatty ラットのヒラメ筋および長趾伸筋で筋線維細胞内の微小な空胞の増加が認められた。この空胞は各週齢のSDラットでも認められたが、SDT fatty ラットではその数が増加していた。この空胞は、脂肪膜タンパクadipophilin についての免疫染色で陽性を示した。

したがって、筋線維細胞内の空胞は中性脂肪であることが明らかとなった。さらに、透過型電子顕微鏡による筋線維の縦断面の超微形態観察により、同空胞は低電子密度の均質な染色態度を示し、電顕的にも脂肪滴であることが確認された。

筋線維内脂肪滴は、特に筋原線維間に多く分布し、多くがミトコンドリアに隣接していた。一部のミトコンドリアでは、内部構造の崩壊した異常な形態を示すものも認められた。

 

長趾伸筋(40週)

結果:長趾伸筋(40週)

 

長趾伸筋(40週;電子顕微鏡検査)

結果:長趾伸筋(40週;電子顕微鏡検査)

 

結果5:血漿中IGF-1 レベル

血漿中IGF-1 レベルは、16週齢までSD ラットと同等であったが、24週齢からSD ラットに比較して有意に低値を示した。

IGF-1値を経時的にみると、SD ラットでは8週齢以降ほぼ横ばいで推移するのに対し、SDT fatty ラットでは、8から24週齢まで約50%も低下し、40週齢までではさらに約75%低下した。

 

骨格筋の蛋白合成系(血中ホルモン測定)

結果:骨格筋の蛋白合成系(血中ホルモン測定)

 

結果6:筋タンパク分解系の遺伝子発現解析

骨格筋蛋白の分解系の指標として、骨格筋内のMuRF-1及びAtrogin-1のmRNA量測定を実施した。筋重量及び病理解析で変化が比較的大きかった長趾伸筋を測定の対象とした。

分解系の亢進が生じている場合には、両マーカーの遺伝子発現は正常対照に比較して増加していると予測された。しかしながら、いずれの週齢のSDT fatty ラットにおいてもMuRF-1及びAtrogin-1のmRNA発現レベルの増加は認められなかった。

 

骨格筋の蛋白分解系(筋組織中mRNA発現量)

結果:骨格筋の蛋白分解系(筋組織中mRNA発現量)

 

結果7:筋力測定(前肢握力試験)

骨格筋の機能的解析として、8、24および40週齢の動物を用いて小動物用握力測定装置を用いた前肢筋力(握力)測定を実施した。8週齢におけるSDT fatty ラットの平均前肢握力スコアは、SD ラット及びSDT fatty ラットで差は認められなかった。24週齢及び40週齢では、SDT fatty ラットの握力スコアが有意な低値を示した。SDラットに比較して24週齢では-32%、40週齢では-38%であった。

SDT fatty ラットは24及び40週齢において、正常対照に比較して筋力の低下を示すことが明らかとなった。

 

論文/発表

Pathophysiological analyses of skeletal muscle in obese type. 2 diabetes SDT fatty rats. J Toxicol Pathol. 2018. Apr;31(2):113-123.[PMID: 29750000]
SDT fattyラット骨格筋の病態生理学的特徴

SDT fattyラットにおいて、正常対照(SDラット)に比較し、筋量減少、筋線維の萎縮、筋力低下、筋蛋白合成系シグナルの低下などサルコペニアの指標となる変化が捉えられます。II型線維優位の筋委縮は加齢性サルコペニアの報告と一致していました。

脂肪滴の筋細胞内への蓄積は、インスリン抵抗性や蛋白合成系低下及び肥満や糖尿病の病態に関連するといわれています。SDT fattyラットの筋細胞内脂肪蓄積は、骨格筋の萎縮にも関連している可能性があると考えられます。


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