実験動物/クローズドコロニー/
*Jcl:Wistarには、しばしば<紅涙:Chromodacryorrhea>が認められます。紅涙はマウス・ウサギ・モルモットには発現しないといわれていますが、カバなど水陸両棲の動物は<紅い汗>を出すといわれています。ラットにはアセチルコリンを投与したり、粘着テープの肉体拘束によっても30~40分で紅涙が発現し体重が大きい個体ほど早いといわれます(1)。これらの紅涙は赤血球とは異なる物質で、ハーダー氏腺に由来するポルフィン体であることが確認され、実験処置によって発現する紅涙は、アトロピンによって阻止されることから、副交換神経を介する作用によるものと推定されます(2)。このように紅涙はラットの持つ生理的現象と思われますが、Jclラット各系統間ではWistar>SD>F344の順位で、その発現に系統差が見られます。このことは反面、Jcl:Wistarの優れた感受性の高さが示唆されていると思われます。